6.海外人材派遣政策

 中国政府は、国家留学基金管理委員会が実施管理の窓口部署となって海外への人材派遣政策を積極的に実施している。派遣対象者の選考方法は、申 請者本人による申請と所属機関の推薦にもとづいて留学基金管理委員会の専門家が審議し、成績優秀者の順に決定する。  

 海外派遣の対象となった者に対しては、国際往復旅費および海外留学や研修期間中の奨学金、生活費が助成される。派遣者数の規模は、研究者が年間約1800名、大学院生が年間約6000名で、国 費派遣プロジェクトによる海外派遣人材は年間約7800名に達する。

 日本では日本学生支援機構(JASSO)が、大学生および大学院生を海外留学に派遣する「留学生交流支援制度」による派遣事業を行っているが、派遣者数は長期・短 期派遣を合わせて年間約100名程度である(2009年度実績103名)。また、若手研究者や大学院生の育成のための日本学術振興会(JSPS)が海外派遣制度を行っており、「海外特別研究員」が 2009年度実績で163名、「特定国派遣研究者」が2008年度実績で67名、「若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム」が同実績で170名となっており、合 わせて年間約400名を派遣している。

 JASSOとJSPSの人材派遣事業を合計すると年間約500名規模となるが、中国は日本と比較して10倍以上の大学生や研究者を国外留学、研修などに積極的に派遣している。

(1)訪問学者公費派遣プロジェクト

①目的および概要

 国家発展に必要なイノベーション人材を育成するため、大学(ポスドク研究者を含む)、企業等から年間1000人の研究者を国費で海外の大学・研究機関に派遣する人材政策である。

 1996年より実施された。留学、研修期間は3~12ヶ月である。

②申請者の条件

 大学、企業、政府機関、研究機関に在籍し、申請時の年齢が50歳以下の者が対象で、学部卒の申請者は5年間以上、修士修了の申請者は2年間以上の仕事経験を有することが必要である。ポ スドク研究の申請者は、博士号の取得から3年以内の者で、大学または研究機関で教育・研究に従事している優秀な青年教師もしくは研究者であることとされている。

(2)西部地域人材育成特別プロジェクト

①目的および概要

 中国政府の「西部大開発政策」に対応して、西部地域13の省、市、自治区から年間610名程度の専門人材を国費で海外に派遣する人材政策で、2001年より導入された。留学、研修期間は、研究者( ポスドク研究を含む)は6~12ヵ月、短期研修生は3ヵ月となっている。

②申請者の条件

 大学、企業、行政機関、研究機関に在籍し、良好な専門的基礎知識と潜在能力を有し、海外の大学の要求する外国語レベルをクリアできる者が対象となる。学部卒の申請者は5年間以上、修 士修了の申請者は2年間以上の仕事経験が必要である。ポスドク研究の申請者は博士号の取得から3年以内の者で、大学または研究機関で教育・研究に従事する優秀な青年教師もしくは研究者であることとされている。& lt; /p>

(3)国家ハイレベル研究者公費派遣プロジェクト

①目的および概要

 ハイレベルのイノベーション人材を育成するため、大学、企業等から毎年190名の優秀な研究者を国費で海外の一流大学へ派遣する人材政策である。2003年より実施された。留学・研修期間は 3~6ヵ月である。

②申請者の条件

 大学、企業、政府機関、研究機関に在籍し、申請時の年齢が55歳以下で、国家重点実験室、教育部重点実験室、国家工程研究センターの中心メンバーまたは教授であるか、「長江学者」、教育部「 イノベーショングループ」の中心メンバーまたは「新世紀優秀人材計画」の当選者であるかのいずれかの条件に該当する者が申請対象となる。政府機関および国有大中規模企業に在籍する者は、副 局長レベル以上に相当する上級管理職以上であることが要件となる。

(4)ハイレベル大学院生派遣プロジェクト

①目的および概要

 ハイレベルの大学整備および海外の有名大学との交流促進を進めるため、2007年から2011年の5年間で国内の重点大学49校から年間5000人の優秀な学生を海外の一流大学へ派遣し、海 外の一流の研究者から指導を受けさせる海外留学生の国費派遣人材政策である。2007年から導入実施されている。留学、研修期間は、博士学位専攻大学院生は36~48ヵ月、共 同養成博士コース大学院生は6~24ヵ月となっている。

②申請者の条件

 指定の重点大学に在学し、申請時の年齢が35歳以下で、良好な専門的基礎知識と潜在能力を持ち、海外の大学の要求する外国語レベルをクリアできる者が対象となる。博士学位専攻大学院コースの申請者は、申 請時点で修士課程在学生または博士課程1年生であることを要し、共同養成博士コース大学院生の申請者は申請の時点で博士課程の在学生であることを要する。

(5)国家公費派遣大学院生特別奨学金プロジェクト

①目的および概要

 イノベーション創出に寄与する資質をもつ人材を育成し、中国と世界各国との協力を促進するため、大学、企業等から年間1000人を国費で海外に派遣する人材政策である。2008年より実施された。留学、研 修期間は、博士学位専攻大学院生は36~48ヵ月、共同養成博士コース大学院生は6~24ヵ月、修士課程大学院生は12~24ヵ月である。

②申請者の条件

 大学、企業、行政機関、研究機関に在籍し、良好な専門的基礎知識と潜在能力を持ち、海外の大学の要求する外国語レベルをクリアできる者が対象となる。博 士学位専攻大学院生の申請者は申請時点で修士課程在学生あるいは博士課程1年生であり、共同養成博士コース大学院生の申請者は申請時点で博士課程在学生であることを要し、い ずれも申請時で35歳以下の条件となっている。また、修士課程大学院生の申請者は申請の時点でその年の学部卒業生または学士学位の取得者で、申請時の年齢は30歳以下の者とされている。


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