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5G通信ネットワークに向けたD2D技術総論(その3)

2017年 7月20日

銭 志鴻:吉林大学通信工程学院教授

 博士過程指導教員。主な研究テーマは、モノのインターネットやD2D、Wi-Fi、RFIDなどに基づく無線ネットワークと通信技術

王 雪:吉林大学通信工程学院准教授

主な研究テーマは、モノのインターネットとD2D通信技術。

その2よりつづき)

3 D2Dの未来の技術発展

 現在、D2Dに関する研究はまだ、D2Dの検出や構築、資源分配などの基本的なカギとなる問題に集中している。未来の研究は、一方では、上述の科学問題、とりわけ移動性やマルチセルラーユーザーなどにかかわるシーンでのデバイス検出や資源分配、干渉管理、キャッシュのさらなる解決に目をつけている。もう一方では、5G通信時代がますます近づき、「インターネット+」戦略が発展する中、5G通信体系とモノのインターネット系統でD2D技術の優位性をいかに発揮することができるかが、D2Dの未来の発展と研究の道筋となる[70]

3.1 D2D主要技術の研究発展の趨勢

 D2D無線ネットワークにおいては、デバイス検出や資源管理、キャッシュなどの主要技術問題が、ネットワーク中の基本となり、カギとなる問題となる。すでに一定の解决プランがあるが、無線ネットワークは多様で入り乱れており、ネットワーク構成やトポロジー、環境、ニーズなどの変化は、上述の通信主要技術の解决プランに新たな要求を提起するものとなる。このため本稿では、未来のネットワークの特性に向け、上述の主要技術の発展を展望する。

1)マルチセルラーネットワーク下のD2D通信

 現在の研究は多くが、単一セルラー内のユーザーとD2Dデバイスの間の連結の確立や資源管理などの問題を解決するものである。だがD2D通信は、シングルセルラー環境にだけ存在するものではなくなる。一般的なセルラーネットワークに対しても、D2Dはユビキタスに存在するものである。とりわけ現在の研究はほとんどがD2Dデバイス検出とセッション確立のプロセスがすでに終わったものと仮定している。このためマルチセルラーネットワーク環境下でD2Dデバイスをいかに検出するか、検出デバイスの間で競合があるか、競合をいかに協調させるか、資源配置を通じていかに干渉を協調させ、こうした状況下のQoSニーズを満たすかなどが、未来の研究において解决しなければならない問題となる。

2)D2D通信に対するデバイスの移動性の影響

 移動性は、無線通信の基本的な特性である。このためD2Dデバイスには、さまざまな程度の移動性が不可避的に存在する。デバイスが移動する際には、D2Dリンクの確立に対して、またセルラーユーザーのオフロードや干渉管理などのストラテジーに対して、いずれも異なる程度の影響が生まれる。同時に、現在のキャッシュ技術の研究は多くが、現在のセルラー内に補助ノードが存在してデータキャッシュを行うことを仮定しており、移動性は、オリジナルプランの有効性にも影響を与えることとなる。このほか移動環境においては、伝統的な通信方式とD2D方式の間でいかにモデル選択とデータオフロードを行うかも、D2D通信の優位性発揮の重要課題となる。このため上述の主要技術に対するデバイスの移動性の影響も、D2D無線通信技術が無視できない問題となる。

3)QoSニーズ

 現在の研究はすでに無線ネットワークのQoSニーズを研究目標に盛り込んでいるが、無線ネットワーク、とりわけ未来のヘテロジニアスネットワークの環境下においては、QoSのニーズがより複雑となる。現在のパラメーターニーズを満たすと同時に、ネットワーク全体の性能をいかに有効に協調させるかは、無線ネットワークの永遠の課題となる。

4)大規模ネットワークのD2D通信

 現在の研究は多くが、シングルセルラーシングルホップD2Dネットワークに集中している。だが実際の無線ネットワークには、大量の無線デバイスが存在している。こうした場合に大規模な利用可能なD2D通信を提供し、上述の主要技術がかかわるネットワーク規模が1からnへと広がる時には、その技術の難度は当然高くなる。このため大規模ネットワークのD2D通信を確立するためには、上述の多くの主要技術にはいずれも、克服すべき大量の技術の難点が存在する。

3.2 D2Dと未来のネットワーク発展のアーキテクチャー設計

 5G通信は2020年に打ち出されることになっている。5Gヘテロジニアスネットワークには混合性や複雑性などの特性がある上、大量の無線デバイスの同時アクセスや異なるネットワークデバイスの差異性もこれに加わり[71]、未来の無線ネットワークにおけるD2D通信には予想しにくい困難が生まれる。一方では、ヘテロジニアスネットワークの出現が、D2D通信の近隣検出や時刻同期、資源分配により多くの試練をもたらした。総合的なコントローラーによってネットワークの集中管理とアクセス最適化を実現し、限りある周波数スペクトル資源を利用して効率的でスムースな通信を実現する必要がある。もう一方では、大規模なD2Dデバイスの同時アクセスが、工業オートメーションネットワークに過度な負担をもたらしている。ソフトウェア定義ネットワークとネットワーク機能仮想化はすでに、未来のモバイル通信技術の新たな焦点となっている。SDN/NFV技術の利用によって、基層のヘテロジニアスネットワークを抽象し、制御層を通じてこれを統一的な資源とみなしてスケジューリングし、グローバルな角度から無線アクセスネットワークの集中制御と資源分配を有効に行い、モデル選択とロード均衡を利用し、各スマート端末のスピーディーで安定的なアクセスを実現し、クラウドサービスの運用空間を最大限に開くことができる。このようなまったく新しい通信理論とアクセス方法は、D2D通信システムのもう一つの研究の重点となる。

 現在の状況から見ると、D2Dの出現と発揮の舞台はIoTと5Gであるが、実際には、この2種類の技術にはいずれも、形の整った体系アーキテクチャーがない。5Gは2020年の商用が期待され、IoTは2025年の全面的な展開が期待されている。また研究者がさらに注目すべきなのは、この2種類の通信体系は各自が進展すると同時に、共同での作業が、それらの疎通と応用範囲拡大の主流方式となっているということだ。新興のD2D技術は、オフロード5Gシステム中のデータ量を均衡させると同時に、IoTのアクセス方式を豊かにするものとなる。未来の通信システムは、D2Dに基づいたこうした融合ネットワークアーキテクチャーを必要としている。このため未来のD2D研究がまず解决すべきなのはD2Dと5G、モノのインターネット通信システムアーキテクチャー、さらにこのアーキテクチャーの下での通信確立や資源管理、D2DとSDNの結合などの科学問題となる。

1)D2Dと5G、モノのインターネット通信システムアーキテクチャーの設計

 インダストリー4.0の興隆は、モノのインターネットと5G通信技術の急速な発展を引っ張り、伝統的な通信システム体系アーキテクチャーを揺るがした。これはさらに、インダストリー4.0の枠組の下での通信体系構造は、これまでのいかなる時代の通信システムとも異なり、より高い情報収集と処理効率を備えているという情報を伝えている[2,72]。4G Americas推進チームはその白書[73]において、大量アクセスやオールウェイズオンライン、高エネルギー効率、柔軟なエアインターフェースのサポートなどの5Gに対する北米社会のビジョンは、既存のネットワークの進化にだけ頼って実現することはできず、まったく新しいプロトコルとアクセス技術が必要となり、通信体系アーキテクチャーは不断にアップデートされる必要があると指摘した。日本のNTT DOCOMOは、高周波ネットワークとネットワーククラウドの2層を含む5Gアーキテクチャーを設計し[74]、SDNを用いてデータ/制御平面の分離を実現し、システム資源管理に用いるネットワークインテリジェントの概念を提起した。フィンランド国立技術庁に支援されたタンペレ大学とIntelの合同プロジェクトの研究成果は、モバイル通信ネットワークデータ通信量のD2Dオフロードの具体的なメカニズムを提唱し[75]、シミュレーションを通じてD2D通信の導入がネットワーク容量を明らかに増加させることを検証し、同時にエネルギー効率を改善し、ユーザー体験を保証した。中国における未来モバイル通信フォーラムはその5G白書[76]において、さらなる柔軟性・省エネ・スピードというニーズに立脚し、未来のモバイルネットワークの立ち入った検討を行い、無線アクセスネットワーク(RAN、radio access network)レベルにおいて、C-RAN(centralized、cooperative、cloud and clean-RAN)という名の新たな技術を提案した。

 現在のフラットLTE体系構造は、モバイル通信システムとインターネットの高度な融合を促進した。高密度やスマート化、プログラマブルが未来のモバイル通信における進化の発展趨勢を代表するものとなり、体系構造の変革は、次世代無線モバイル通信システムの発展の主要な方向となっている。上述の発展目標に向け、本稿は、未来の無線通信のニーズをターゲットとし、データと制御の分離に基づく次世代モバイル通信ネットワークのフラットアーキテクチャーを設計し、光ファイバーフロントホールとソフトウェア定義ネットワークを通じて、フラットな2層5Gアーキテクチャーを実現した。アクセスを担当する下層のマクロ/スモールセルセルラーネットワークと、管理を担当する上層のネットワーククラウドである。LTEネットワーク中のマクロセルは主に、2種類の機能モジュールから構成される。ベースバンド信号処理を実現するベースバンドユニット(BBU、base band unit)と、無線アクセスを担当する無線ユニット(RRU、remote radio unit)である。本稿の提起する5Gクラウドアーキテクチャーにおいては、BBUは、上層に移されて集中管理される。BBUの中心と上層ネットワーククラウドのコアネットワークはいずれも、ソフトウェア定義ネットワーク実現によって実現される。それらの間では、バックホール(backhaul)リンクを通じてデータを伝送する。BBU中心は同時に、下層のセルラーネットワーク中の無線ユニットと、光ファイバーを通じて連結を確立し、フロントホール(fronthaul)ネットワークを形成し、ネットワークの制御オーバーヘッドを減少させる。LTEシステムと比べると、アーキテクチャー中でアクセスを担当するマクロセルとスモールセルはそれぞれ、より低い周波数帯域とより高い周波数帯域を使用し、より広いカバーとより大きい容量を獲得する。同時に、スモールセルの間の相互連結によって構成されたMeshネットワークは、マージンエリアのネットワーク性能を有効に改善することができる。

 このほか5Gヘテロジニアスネットワークは、さまざまな無線アクセス技術を使うことができ、家庭・娯楽や交通運輸、ビル・オフィス、工業生産などの分野の各種の無線3C(computer、communication、consumer)端末デバイスのインターフェイスをサポートし、固定チャンネル帯域幅の伝統セルラー通信を総合的に考慮し、端末が直接的に通信する新興D2D技術と、周波数スペクトル効率を高めるために設計された無線認知チャンネル競合メカニズムを強調したものとなる。次世代モバイル通信システムにおける基地局に基づく通信には主に、以下の3種がある。①基地局を通じて直接構築された通信:基地局は、端末デバイスにアプリンク/ダウンリンクチャンネルを分配する。通信の構築は、デバイスと基地局の間の直通リンクに依存する。②認可D2D技術を利用して構築された通信:基地局の制御の下、端末デバイス間では、認可された周波数帯を通じて直接通信を行う。③認知無線ネットワーク(CRN、cognitive radio network)に基づいて構築された通信:認知無線の導入は、周波数スペクトル利用率をさらに高めるためである。具体的には、5G中のセルラーユーザーは2種に分けられる。固定帯域幅を使用するプライマリーユーザー(PU、primary user)と、空いた周波数スペクトル資源をランダムに競合するセカンダリーユーザー(SU、secondary user)である。セカンダリーユーザーも基地局を通じて通信を構築するが、それらの占用する通信帯域幅は固定されておらず、無線の出力が小さく、安定性が劣っている。アクセスネットワークにおける異なる技術に基づく端末作業モデルは、マクロセルと直接通信するか、スモールセルを通じてデータパケットを転送してRRUと間接的に連結を構築し、最後に、光ファイバーフロントホールネットワークによってモバイルデバイスとBBUセンター、コアネットワークの間の双方向のデータ伝送を統一的に実現するものとなる。

 まだ形を整えていない5GとIoTは、相互排斥や一方的な包括という関係にはない。本稿では、5Gアーキテクチャーの関連研究を土台とし、ルーターメカニズムや占用するソフト・ハードウェア資源、D2D技術の導入方式の違いに基づき、未来のネットワークにおける両者の関係を検討した。

 稼働する周波数帯域の違いに基づき、D2D通信モデルは、認可された周波数帯域で稼働するD2Dと、認可を免除された周波数帯域で稼働するD2Dに分けることができる。現在、認可された周波数帯域におけるD2D通信技術はまだ標凖化されておらず、認可を免除された周波数帯域におけるD2D技術は、Wi-FiやBluetooth、ZigBeeなどのすでに成熟した技術によってサポートされている。このうち認可された周波数帯域におけるD2Dは、D2D通信と伝統セルラー通信が無線周波数スペクトルを共用する重複方式と、一部の専用の認可された周波数帯域を分配してD2Dに用いる非重複方式に分けられる。認可を免除された周波数帯域のD2D通信は、制御方式に基づき、基地局によって通信を制御される被制御モデルと端末デバイスが通信管理を担当する自主モデルに細分される。それぞれのD2D方式が持つ長所と欠点を考慮し、本稿は、未来のネットワークの融合のニーズをターゲットとして、応用シーンの違いに基づいてふさわしいD2D方式を選択し、新興技術が持つ先天的な優位性を最大限に発揮するという戦略を打ち出し、未来のヘテロジニアスネットワークへのより良い融合をはかった。選択の根拠は図3に示す通りである。このうちD2Dは、応用シーンに基づき、D2D通信とD2D中継に分けられる。D2D通信は主に、セルラーネットワークのデータのオフロードに用いられる。D2D中継は主に、一部のユーザーのサービス体験の改善に用いられる。セルラー通信の重要な補充として、5Gと未来の通信ネットワークにおいては、応用シーンの違いに基づき、D2Dの導入方式は次のように分けられる。①オペレーターの制御するD2D通信(DC-OC、D2D communication controlled by operator)。②オペレーターの制御するD2D中継(DR-OC、D2D relaying controlled by operator)。③サーバーの制御するD2D通信(DC-SC、D2D communication controlled by server)。④サーバーの制御するD2D中継(DR-SC、D2D relaying controlled by server)。⑤端末の制御するD2D通信(DC-DC、D2D communication controlled by device)。DC-DC方式における通信の構築と管理にはオペレーターやサーバーの参与は必要ない。端末デバイスが物理的・距離的に近くて初めて可能となる(devices in proximity)。

図3

図3 応用シーンに基づく適切なD2D方式の選択

 これと同時に、本稿では、5GとIoT、Internetの技術構成の差異を考慮した上で、三者を統一管理する融合コアネットワークを設計した。図4に示す通りである。このうち進化したパケットコア(EPC、evolved packet core)は、伝統セルラー通信を担当する。D2D通信サーバーコア(DSC、D2D server core)は、新たに導入したオフロードD2D通信を担当する。資源ディスパッチングコア(RDC、resource dispatching core)が、システムの資源スケジューリングと、外部へのアプリケーションプログラミングインタフェース(API、application programming interface)の提供を担当する。EPCは、現在のLTEネットワークの関連ネットワーク要素の発展によってできる。DSCとRDCは、クラウドコンピューティング(cloud computing)クラスターに基づいて構築される。このうち統一的なシステム資源ディスパッチングコア(RDC)は主に、周波数スペクトル管理や出力制御、ネットワークモニタリングなどの機能を果たす。具体的には、資源ディスパッチングコア(RDC)は、無線出力コントローラー(RPC)とネットワーク資源スケジューラー(NRS)、ポリシーおよび課金ルール機能(PCRF)、クラウドコンピューティングインターフェイス(CCI)からなる。D2D通信サーバーコア(DSC)は、チャンネル状態情報検出器(CSID)、端末デバイス出力コントローラー(DPC)、ルーティングプロトコルプロセッサー(RPP)からなる。進化したパケットコア(EPC)は、周波数スペクトル管理体(SME)とサービスゲートウェイ(S-GW)、移動性管理体(MME)からなり、3つのコアの間では、パケットデータネットワークゲートウェイ(PDN-GW)を通じて、情報交換が実現される。

図4

図4 融合コアネットワークの設計

 このように本稿は、未来のネットワークの垂直・平行の通信体系を提出した。図5に示す通りである。

図5

図5 D2Dに基づく5G/IoT融合ネットワーク

 未来の融合ネットワークは、上下2層に分けられる。下層のアクセスネットワークは、5Gフラットアーキテクチャーの無線アクセスを担当するマクロセル/スモールセルのセルラーネットワークと、サーバーに基づく端末の直接通信を積載するIPリンクから構成される。上層のネットワーククラウド中の融合コアネットワークは、LTEネットワークの進化パケットコアとD2D通信サービスコアを連結し、資源スケジューリングコアを通じて二者の統一管理を行う。3つのコア間では、パケットデータゲートウェイ(PDN GW)を通じてデータが伝送され、PDN GWは同時に、融合コアネットワークとInternetとの連結を担当する。資源ディスパッチングコアは、仮想の資源プールをサービスとして第三者に提供し、5G資源プールとInternetに基づくアプリケーションにプログラミングインターフェイスを提供する。融合ネットワークにおける5Gシステムは、その構造上、無線アクセスネットワークと、ネットワーククラウド中のEPCとDSC、RDCの3つのコアを含む。上下2層は、新型の光ファイバーフロントホールネットワークを通じて情報を相互に伝達する。これらの基地局施設と通信リンク、プール化されたネットワーク資源の伝統モバイル通信(セルラー、Mesh、CRN)に対するサポートを一緒になって実現する。これと同時に、資源ディスパッチングコア(RDC)は、伝統通信とD2D、さらに特定シーンにおいてどのD2D通信モデルを具体的に採用するかに、選択ストラテジーを提供する。IoTは、Internetとサーバークラスター、関連するアプリケーション開発などの面に体現され、ユビキタスな連結をサポートするネットワークの特性とInternetの成熟した技術と結合し、サーバーに基づくD2Dの通信と中継にサポートを提供し、5G資源プールの実現プロセスにおいてカギとなる役割を発揮する。Internetに基づくサブシステムは、DC-SCとDR-SCに、適合したIPリンクとルーティングメカニズムを提供し、端末とDSCの間のデータ伝達を保障する。未来のネットワークに向けた5GとIoT、Internetはもはや孤立して存在するものではない。融合ネットワークの垂直レベルから見ると、三者は、各自の技術の特性を結合し、共同で働き、下層に対するアクセスと上層の管理を行う。体系中の上層のDSCとRDC、5G資源プールとInternetに基づくアプリケーションは、未来ネットワーク中の技術融合の大きな方向を体現している。

2)D2D・SDN技術

 ネットワークのスマートモバイルデバイスの爆発的な増加とその差別化発展に伴い、高密度のヘテロジニアス無線D2Dネットワークは、大量のデバイス連結を同時にサポートし、通信のリアルタイム性と信頼性を保証する必要がある。NFVやSDNなどの新技術は、これらの目標の実現に新たな考え方を提供するものとなる。SDNは、ソフトウェアの集中制御とネットワークの開放による体系アーキテクチャーであり、その核心的な発想は、制御と転送の分離にある。開放的なソフトウェア定義を通じて、ネットワーク機能の柔軟な再構成を実現する。その最大の価値は、全ネットワークの資源使用効率を高め、ネットワークの仮想化能力を向上させ、ネットワーク管理を簡略化することにある。NFVは、仮想化技術を採用し、伝統的な通信デバイスとハードウェアを分離し、汎用的なコンピューティングやメモリ、ネットワークデバイスに基づき、通信ネットワーク機能を実現し、デバイスの建設や管理、メンテナンス効率を有効に高め、資本支出と運営コストを大きく引き下げた[77]

 SDN/NFVは、伝統ネットワーク構造の硬直化という問題を有効に解決し、絶えず増加するデータ通信量のニーズを満たすことができる。文献[78]は、SDNとNFVに基づくネットワークアーキテクチャーを打ち出した。その基本的な発想は、SDNとNFVの技術を利用し、現在の各種のヘテロジニアスネットワークを仮想化し、5Gネットワークの大容量と低ディレイに対する未来のニーズを満たすことにある。文献[79]は、現在のネットワークの閉鎖的で硬直化したアーキテクチャーをターゲットとして、SDNとNFVの技術を次世代ネットワークアーキテクチャーの設計に応用し、全ネットワークのプログラム可能性の提供を通じて、集中的なネットワーク抽象を有効に創造し、急速に増加する無線データ通信量のニーズを満たすネットワークアーキテクチャーを提出した。文献[80]は、D2D通信をSDNとNFVの枠組に統合し、バーチャル無線ネットワークの枠組に基づいてソフトウェア定義D2D通信を提供した。無線移動ユーザーは、無線ネットワークの仮想化とソフトウェア定義D2D通信からゲインを得る。提出されたプランは、実際のネットワーク設置下のシステムのスループットとユーザーユーティリティを大きく高めることができる。このことからは、SDN/NFV技術とD2D技術の融合は、ネットワークの管理と性能の向上を促進することがわかる。このためこの問題も、D2Dと5Gの技術の融合プロセスにおいてさらなる研究が必要なカギとなる分野と言える。

4 結語

 D2D通信技術は、通信が柔軟である、周波数スペクトルの利用率が高いなどの長所があり、未来の通信ネットワークを支える重要な技術の一つとなる。本稿は、D2D通信の特性と現在の研究の現状に基づき、D2Dの主要技術の発展に対し、総括と概括を行った。D2Dのデバイス検出・セッション確立、資源分配、D2Dキャッシュ、D2D-MIMOの4つの面から、現在の研究プランを分類・総括し、これを土台として、未来のネットワーク発展のニーズに基づき、マルチセルラー通信のニーズ、移動性の挑戦、QoSのニーズ、大規模ネットワークの発展の趨勢という4つの面から、D2D通信技術の未来の研究を展望し、D2Dの5G+モノのインターネットに基づく通信アーキテクチャーを提出した。このアーキテクチャーの主体は依然として一種の分散式構造となる。構造から見ると、この上から下へと展開された大きなネットワークは、基幹ネットワークを核心とし、下側は、マクロセルとマイクロセル、ピコセルによって構成・展開される。計算機能から見ると、エッジコンピューティングからフォグコンピューティング[81]、クラウドコンピューティングまで、計算能力はますます強大となっている。D2D技術の運用は、この巨大なネットワークに空前の積載・通信能力を備えさせ、パラレル・分散・協同の通信方式によって、未来の大規模なモノのインターネットのアクセスとビッグデータ処理のニーズを満たすものとなる。

(おわり)

参考文献:

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※本稿は銭志鴻,王雪「面向5G通信網的D2D技術綜述」(『通信学報』第37卷第7期、2016年7月、pp.1-14)を(『通信学報』編集部の許可を得て日本語訳・転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司


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