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鉄鋼インテリジェント製造を背景としたマテリアルフローとエネルギーフローの協同方法(その3)

2017年11月30日

鄭 忠,黄 世鵬,竜 建宇(重慶大学材料科学・工程学院)

高 小強(重慶大学経済・工商管理学院)

その2よりつづき)

4 鉄鋼製造プロセスのマテリアルフローとエネルギーフローの協同最適化方法

 生産とエネルギーの関連情報に基づき、生産計画や生産実行調整目標をめぐって、生産資源とエネルギーのマッチングと協調を行い、生産の効率的な進行とエネルギーの効率的な利用に条件を作り出す。

4.1 鉄鋼製造プロセスの各生産進行制御レベルの協同方式

 鉄鋼製造プロセスの生産とエネルギーシステムの進行管理のアーキテクチャーは図5に示す通りである。製造ユニットの各設備のプロセス制御システムから設備と生産過程における計画や生産実績、設備状况、エネルギーの関連データ情報を収集し、データの分類と保存を行い、製造ユニットの生産とエネルギーのデジタル化情報を得る。生産管理とエネルギー管理のシステムは、関連情報の伝達を通じて、生産とエネルギーの協調した計画配置を行う。さらに設備レベルの生産実績情報のすばやいフィードバックを通じて、生産実行過程のすばやい調整やコントロールを行い、インテリジェント化された生産とエネルギー利用過程の制御を実現する。

図5

図5 鉄鋼製造プロセスの生産とエネルギーシステムの進行管理アーキテクチャー

Fig.5 Operation management and control architecture of the production and energy system in the iron and steel manufacturing process

 このため生産進行の制御という角度から考えると、マテリアルフローとエネルギーフローの協同最適化は次のいくつかの点に体現される。

 (1)マテリアルフローとエネルギーフローの情報のデジタル化支援。鉄鋼企業の既存の生産・エネルギー情報化システムの下で、マテリアルフローとエネルギーフローの現実の進行状况と生産制御情報に対するデータモニタリングを強化し、モノのインターネット技術を通じて、生産とエネルギーにかかわるマテリアルフローとエネルギーフローのデータの完全ですばやく正確で有効な収集を実現する。情報の即時伝達機能を改善し、先進通信技術によってシステムデータのリアルタイムの伝送と報告・フィードバックを行い、データのリアルタイム伝送能力を高める。リアルタイムデータの需要に応じた統計分析機能を構築し、クラウドコンピューティングなどの技術手段を通じて、データをリアルタイムで計算処理し、生産進行とエネルギー利用状况をリアルタイムで診断し、生産の進行を最適化する。企業資源計画システムやエネルギー管理システム、製造実行システムと製造ユニットとの情報伝達とインタラクションを利用し、生産計画とエネルギー計画の制定や生産実行過程における資源とエネルギーの調整に条件を作り出す。

 (2)エネルギー計画と生産計画の協調。企業資源計画システムとエネルギー管理システムの生産計画と資源計画、エネルギー計画の協調最適化機能を強化し、エネルギー管理システムにおけるエネルギー計画と生産量計画の協同最適化能力、製造実行システムの生産作業計画の協同最適化能力を向上させる。生産計画を通じて、資源計画とエネルギー計画の制定を指導・牽引し、生産計画とエネルギー計画、現実の生産の間に存在する資源とエネルギーのつながりの不適合という問題を解決する。

 (3)動的調整過程の協同。生産実行過程における動的調整の不確定性、とりわけ製鋼-連続鋳造核心生産組織における多工程という特徴をめぐって、生産組織の実施過程における情報モニタリングの強化という土台の上で、プロセス制御情報システムと企業資源計画システム、製造実行システム、エネルギー管理システム、生産工程設備ユニット情報システム、プロセス制御システムなどの協調最適化機能を改善する。情報技術と自動化技術の結合を利用し、動的調整に向けた協同最適化モデルを構築し、製造実行システムの生産計画と調整実行の協同最適化機能を向上させ、資源とエネルギーの動的生産の進行における協同最適化配置の働きを実現させる。

4.2 鉄鋼企業情報システムの協同最適化手段

 鉄鋼企業の情報システムアーキテクチャーの下、鉄鋼企業は、注文に応じて生産計画を制定し、生産任務を通達する。マテリアルフローとエネルギーフローの情報フローは、それぞれの形式によって、企業資源計画システムと製造実行システム、エネルギー管理システムの中でそれぞれ、各工程の製造ユニット設備にまで通達され、生産組織と生産システムを進行させる。

 情報フローに基づくマテリアルフローとエネルギーフローの連動を通じて、エネルギー管理システムが生産のニーズをより良く満たすようにし、エネルギー管理システムと鉄鋼企業資源計画システム、製造実行システムなどの生産管理情報システムの深い融合を実現する。鉄鋼生産におけるマテリアルフローとエネルギーフローの情報の協同作用最適化システムの進行メカニズムは図6の通りである。

図6

図6 マテリアルフローとエネルギーフローの情報の協同最適化システムの進行メカニズム

Fig.6 Operation mechanism of the information synergetic optimization system between materials flow and energy flow

 鉄鋼生産は、市場の顧客のパーソナライズドされたニーズを満たすことを原則とし、契約や注文に応じて、生産量の計画と生産作業の計画を制定する。さらに既存の資源とエネルギーを土台として、技術の制約と製品の要求に基づき、資源計画とエネルギー計画を制定する。各工程とそのユニット設備は、製造実行システムの制定した生産作業計画とその時点での資源とエネルギーの条件の下で、生産を行う。

 このため鉄鋼製造のマテリアルフローとエネルギーフローの協同システムは、生産の最適化と資源の最適化、エネルギーの最適化の協同を終極的な目標とし、正常で安定した秩序ある生産の進行を確保することを土台とし、生産資源とエネルギーの合理的で有効な配置を行う。具体的な実施の手段としては、鉄鋼企業の既存の企業資源計画システムや製造実行システム、エネルギー管理システムなどの情報システムアーキテクチャーを土台とし、メインの工程設備ユニットのプロセス制御システムと結びつけ、相応する情報システムの中に新たな協同最適化機能モジュールを加え、マテリアルフローとエネルギーフローにかかわる情報のインタラクションと利用を行うことが含まれる。同時に、新たな情報の協同最適化サブシステムを設計し、対応するモデルベースとデータベースを下支えとし、マテリアルフローとエネルギーフローの協同最適化を実現する。

5 結論

 (1)インテリジェント製造という世界的な発展の流れと鉄鋼製造のグリーン化とインテリジェント化という発展の要求の下、鉄鋼製造プロセスのマテリアルフローとエネルギーフローの協同最適化問題は、解决がすぐにでも待たれている。このため鉄鋼製造プロセスのマテリアルフローとエネルギーフローの特性に基づき、マテリアルフローネットワークとエネルギーフローネットワークの構成と進行の方式を分析し、鉄鋼企業の鉄フローを核心としたマテリアルフローと対応するエネルギーフローネットワークの結合という角度から、マテリアルフローとエネルギーフローの協同の面で企業の既存の情報化システムに存在する問題を指摘した。

 (2)製造ユニットと製造プロセスの二つのレベルからマテリアルフローとエネルギーフローの結合関係を分析・論述した。製造ユニットのレベルにおいては、生産対象となる鉄フローの加工現場設備上の物質の変化過程とエネルギー変換関係を分析し、マテリアルフローとエネルギーフローの需要の種類と数量を確定し、さらにマテリアルフローネットワークと各エネルギーフローネットワークに対する影響と変化を考慮し、今後の具体的なモデルの構築に土台を築いた。製造プロセスのレベルでは、鉄マテリアルフローのプロセス式生産の需要から出発し、結合したマテリアルフローネットワークと多種類のエネルギーフローネットワークに基づき、生産計画とエネルギー利用計画を関連付け、二次エネルギーと二次資源の生産を考慮して、生産情報とエネルギー情報の統合最適化を通じて生産計画とエネルギー計画、生産調整、エネルギー調整を行うシステム制御を提出し、製造過程全体のエネルギーの需要に応じたマッチングを実現した。

 (3)鉄鋼製造のマテリアルフローとエネルギーフローの協同方法を提出し、情報モニタリングの改善と計画協同、調整協同の3つの面からマテリアルフローとエネルギーフローの協同を実現することとした。鉄鋼企業の既存の情報システムアーキテクチャーの下で、マテリアルフローとエネルギーフローの情報のインタラクションと利用を行う機能モジュールを加え、情報協同最適化のサブシステムを新たに構築できることを明確化した。鉄鋼製造過程のマテリアルフローとエネルギーフローの関連情報のデジタル化とモデル化を利用し、生産最適化と資源最適化、エネルギー最適化の3つの期待目標からマテリアルフローとエネルギーフローの協同最適化を誘導し、資源とエネルギーの最適化配置下での合理的・効率的生産を実現し、企業の核心競争力を増強し、最終的に、スリム製造や省エネ・排出削減、コスト削減・収益増加の目標を実現する。

(おわり)


※本稿は鄭忠,黄世鵬,竜建宇,高小強「鋼鉄智能製造背景下物質流和能量流協同方法」(『工程科学学報』2017年第39巻第1期、pp.115-124)を『工程科学学報』編集部の許可を得て日本語訳・転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司


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