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浅炭層保水採掘岩層制御の研究(その2)

2018年 2月20日

黄 慶享: 西安科技大学教育部西部砿井開採・災害防治重点実験室

教授、博士課程指導教員、博士

その1よりつづき)

3 不透水性の判別と保水採掘の分類

3.1 不透水複合岩体の不透水性の判別

 不透水複合岩体内の「上方向亀裂」と「下方向亀裂」が貫通していない時には、一定の厚さの有効な不透水層が存在しており、透水することはない。規程[25]によると、採掘後の最小安全不透水複合岩体の厚さが採掘の高さ(粘土不透水複合岩体)の3倍または採掘の高さ(基盤岩不透水複合岩体)の5倍に達すると、プロジェクトの安全基準に達する。このため有効不透水複合岩体の厚さと採掘の高さの比を不透水性指標とし、Gcと記す。不透水複合岩体の不透水性の判別根拠は

 式中のHは不透水複合岩体厚さ(m)を指す。

 研究によると、神府鉱区の地表植生を維持するための合理的な生態水位は1.5~5.0mである[15]。大柳塔双溝泉域採掘区での測定によると、1993年から1203や1205、1207などの長壁作業面を相次いで採掘した後、双溝泉の流量は年々低下し、2002年に断流した。2007年になっても(10年余りが経過しても)元の流量の20%までにしか回復していない[26]。陝北生態脆弱鉱区の生態水位保護原則に基づき、保水採掘にあたっては不透水複合岩体の不透水性を保持する必要がある。

3.2 保水採掘の分類

 上部岩層の不透水複合岩体の厚さや性質、採掘の高さの違いによって、不透水複合岩体の安定性は異なる。不透水複合岩体の厚さ・採掘の高さ比の指標に基づき、保水採掘を分類することは、対応する採掘方法をマクロな観点から確立するのに益する。

(1)自然保水採掘類。無選別長壁採掘方法を採用し、不透水複合岩体が湾曲沈下帯に位置し、不透水性を保持するものを、自然保水採掘類と呼ぶ。神府鉱区基盤岩の導水亀裂帯の高さは一般的に採掘の高さの18~28倍で、上限28倍を取る。下方向亀裂の深度を採掘の高さの2倍とし、式(4)に代入することで、神府鉱区自然保水採掘の条件を次式で表すことができる。

 

 つまり有効不透水複合岩体が粘土層(または基盤岩)である時、不透水複合岩体の総厚さは採掘の高さの33倍(または35倍)を超えて初めて自然保水採掘を実現できる。神府鉱区の厚さ10mの厚炭層に対しては、トップコールケービングを採用するなら、不透水複合岩体の厚さが330~350mより大きくて初めて自然保水採掘を実現できる。ここから明らかなように、大部分の作業面は自然保水採掘条件を満たすことはできない。

(2)高さ制限保水採掘類。不透水複合岩体の厚さが採掘の高さの18倍から33倍である時、上方向亀裂は一般的に、不透水複合岩体を貫通することはなく、不透水複合岩体の不透水性は安全~臨界安全の状態にある。このような区域では、一回の採掘の高さを制限した分層採掘または協調採掘などの方式を通じて、亀裂帯の発育の高さを制御し、保水採掘を実現できる。これを高さ制限保水採掘類と呼ぶ。

 採掘の高さを3mとして計算すれば、不透水複合岩体の厚さが54~99mであるものが高さ制限保水採掘類に属する。採掘の高さが5mの時、不透水複合岩体の厚さは90~165mにある。神府鉱区の大部分の区域はこれに属する。楡樹湾炭鉱では、11mの厚さの炭層に対し、5.5mに高さを制限した分層採掘を行い、保水採掘を成功させた。

(3)特殊保水採掘類。不透水複合岩体がとても薄い場合、採掘後の不透水複合岩体は完全に崩落帯または亀裂帯に位置し、採掘は不透水複合岩体の完全な破壊をもたらす。充填採掘などの特殊な採掘方式を取って保水採掘を実現する必要がある。これを特殊保水採掘類と呼ぶ。陝北神府炭田の炭層の上部岩層は一般的に中硬-硬天盤に属する。プロジェクトの安全のために上限を取り、硬天盤を考慮すると、導水亀裂帯の発育の高さは採掘の高さの18倍を超える。長壁フルケービング法を採用し、採掘の高さが3~5mである時、不透水複合岩体の厚さは54~90m以下の区域にあり、特殊保水採掘区に属する。

 このような区域に対しては、採掘空洞のストリップフィリングを採用し、保水採掘を実現する。研究によると、神府鉱区の特殊保水採掘条件に対しては、20%前後を充填することで、75%前後の地表で沈下減少効果を実現することができる。ストリップフィリング保水採掘の不透水複合岩体安定性判別および具体的な充填パラメーターの確定については文献[27-28]を参照。

4 結論

(1)浅炭層の作業面における採掘後、天盤の不透水複合岩体の不透水性は主に、「上方向亀裂」と「下方向亀裂」の影響を受ける。上方向亀裂は、下から上に発育する導水亀裂であり、下方向亀裂は、不透水複合岩体の上表面に産出する上から下に発育する張力亀裂である。最大の上方向亀裂と下方向亀裂はいずれも採掘の縁付近に出現する。

(2)「上方向亀裂帯」と「下方向亀裂帯」の不透水複合岩体における接続は不透水性を決定し、その主要な影響因子は採掘の高さ、不透水複合岩体の厚さと性質である。不透水複合岩体の厚さと採掘の高さの比は、不透水複合岩体の不透水性の主要な指標となる。

(3)不透水複合岩体の「上方向亀裂」の発育の高さと「下方向亀裂」の発育の深さはいずれも採掘の高さと正比例し、一回の採掘の高さを合理的に制限することで、亀裂帯の発育の高さを制御し、不透水複合岩体の安定性を高めることができる。

(4)不透水複合岩体厚さ・採掘の高さ比に基づき、不透水複合岩体の不透水性判別根拠を構築し、保水採掘を主に、自然保水採掘類と高さ制限保水採掘類、特殊保水採掘類の3種類に分ける。神府鉱区について言えば、不透水複合岩体厚さ・採掘の高さ比が35より大きいものは、自然保水採掘類に属する。不透水複合岩体厚さ・採掘の高さ比が18より小さいものは、特殊保水採掘類に属する。不透水複合岩体厚さ・採掘の高さが18から35のものは、高さ制限保水採掘類に属する。

(5)合理的な採掘配置と天盤制御措置を取ることで不透水複合岩体の採掘亀裂の発育程度を低め、亀裂の癒合性質を十分に利用し、経済的な保水採掘を実現することができる。

(おわり)

主要参考文献:

[15]. 王双明,黄慶享,範立民,等.生態脆弱砿区煤炭資源保水開採関鍵技術研究[M].北京: 科学出版社,2010: 41-47.

[25]. 国家煤炭工業局.建築物、水体、鉄路及主要井巷煤柱留設與圧煤開採規程[M].北京: 煤炭工業出版社,2000: 226-235.

[26]. 範立民,王双明,馬雄徳.保水採煤新思路的典型実例[J].砿業安全與環保,2009,36(1): 61-65.
Fan Limin,Wang Shuangming,Ma Xiongde. A typical example of new thinking for water conservation and coal mining[J]. Mining Safety and Environmental Protection,2009,36(1): 61-65.

[27]. 黄慶享,張文忠.浅埋煤層条帯充填保水開採岩層控制[M].北京: 科学出版社,2014.

[28]. 黄慶享,張文忠.浅埋煤層条帯充填隔水岩組力学模型分析[J].煤炭学報,2015,40(5): 973-978.
Huang Qingxiang,Zhang Wenzhong.Mechanical model of water resisting strata group in shallow seam strip-filling mining[J].

※本稿は黄慶享「浅埋煤層保水開採岩層控制研究」(『煤炭学報』2017年第42巻第1期、pp.50-55)を『煤炭学報』編集部の許可を得て日本語訳/転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司


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