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淄博:歴史ある工業都市が新材料の「名都」に

2018年11月29日 王建高(科技日報記者)/傅斌、何意光(科技日報通信員)

 昨年、淄博(しはく)市は、山東省で唯一、中国全土の歴史ある工業都市120都市と全国資源型都市262都市から、全国第一期産業モデル転換・高度化モデルエリアに選出された。そ れから1年あまりで淄博は目覚ましく成長し、「工業にターゲットを絞った」スタイルを通して、工業構造、産業のレベル、スペースの配置などの継続的な最適化を推進し、「エコ動力の向上」スタイルを通して、エ ネルギー構造の調整、時代遅れで過剰な生産能力の淘汰、汚染・排ガス減少対策の一体化を模索し、産業のモデル転換・高度化というエコな発展の道を促進し、行政審査・認可事項が最も少なく、行政の効率が最も高く、行 政コストが最も安い、「三最」都市のスタイルが国務院から表彰を受けた。科技日報の記者がこのほど、毛虫から蝶への華麗な変貌を遂げた淄博を取材した。

内部の力の強化と外部の力の活用でイノベーションに活力注入

「斎魯石化橡膠廠」の合成ゴムの生産工場を訪問すると、24時間体制で作業が行われていた。従業員によると、同工場は中国の主な合成ゴム生産拠点の一つで、合成ゴム、合成樹脂、合 成繊維などの高分子材料の設計生産能力が年間30万トンに達する。

 企業のイノベーションプラットホーム建設を牽引し、産業の急速な発展を支えるなど、淄博は内部の強化を進めると同時に、海外の力を活用することも忘れていない。淄博市科技局の于秀棟・局長によると、「 科学研究系の大学が少なく、人材も不足しているというボトルネックに焦点を合わせ、淄博市は研究院、研究所、大学、大企業誘致プロジェクトを実施し、最先端のセラミックス、高 分子材料関連の国家級テクノロジーインキュベーター5ヶ所、米国シリコンバレー、ドイツミュンヘンに海外インキュベーター2ヶ所を設置し、『産業研究院+インキュベーター+産業拠点』の イノベーション発展スタイルを形成している。そして、市内に国家級研究開発機関17機関、院士ワークステーション86ヶ所を設置し、『国家知的財産権モデル市』に認定され、研究開発経費が国内総生産(GDP)に 占める割合が2.2%に達し、市民1万人当たりの発明特許保有件数が9.7件に達している」。

「現有の変革」と「増加拡大」で競争力を向上

 セミの羽根のように薄く、金より貴重で、泰山よりも重い。これは、東岳集団のクロールアルカリイオン膜と燃料電池膜の説明だ。同社の張建宏・董事長によると、同 社は上海交通大学と共同で8年の歳月をかけて、世界レベルのテクノロジーをめぐるこの難題を解決し、クロールアルカリ工業の分野で他の国の制約を受けてきた歴史にピリオドを打った。

 淄博市は、「現有の変革」を実施することで、「増加拡大」を実現し、新エネルギーや環境保護の分野で、フロロシリコン材料の需要が高まっている状況に合わせて、コア要素資源を集め、共 通性コア技術の難題を解決し、有機フッ素、有機シリコン下流高性能フロロシリコンオイル、フロロシリコンゴム、フロロシリコン塗料などの開発を強化し、産業レベルの高度化、産業体系の新興化、産業構造の軽型化、産 業発展のエコ化という、新材料産業の発展構造を形成し、業界で優位性を誇るようになった。そして、最先端のセラミックス材料、有機高分子、化学工業の新材料、新型耐火材料などの分野においては、環 境にやさしい冷却材、可塑剤、耐火繊維などの生産規模がアジアでトップとなっている。

「市場主導」で「政府牽引」の国家拠点を構築

 桓台県東岳フロロシリコン材料産業パークで、山東東岳神舟新材料有限公司は、含フッ素高分子化合物、含フッ素ファインケミカルの2大シリーズの約100品種を自主研究開発し、それらが国防・軍需産業、航 空・宇宙飛行、自動車などの分野に広く応用され、製品が米国やカナダなど30以上の国や地域に輸出されている。

 淄博には、一定規模以上の新材料企業が371社ある。市内にある一定規模以上の工業企業の14.1%を占める数だ。また、新材料の分野のハイテク企業が148社あり、市 内にあるハイテク企業総数の52.5%を占めている。于局長によると、淄博市は2002年に科技部により総合性国家新材料成果転化・産業化拠点に認可されて以降、「市場主導」と「政府牽引」を通して、新 材料産業のステップアップの道を模索し、中国全土の新材料産業化拠点63ヶ所のうち、唯一の「新材料名都」となった。

 淄博は現在、産業パークや特色ある産業拠点の建設を柱として、新材料産業の集中的発展を加速させている。于局長によると、昨年、市全体の新材料産業の生産高は2316.2億元に達し、市 全体のハイテク産業の生産高に占める割合は58.6%に達した。また、2022年までに、市全体の新材料産業の事業所得は、4000億元以上になると見込まれている。そして、フロロシリコン、ポリオレフィン、ポ リウレタン材料、エンジニアリング・プラスチックの四大500億元級化学工業新材料群を構築し、材料の「ビッグシティ」から「ストロングシティ」への発展を遂げている。


※本稿は、科技日報「淄博:従老工業城市到“新材料名都”」(2018年11月22日付1面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。


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