世界の学術誌「ランセット」の表紙を飾った中国の抗がん剤研究に注目

2019年 1月10日

 国家がんセンター、中国医学科学院腫瘍病院教授の石遠凱氏が中心になり展開する、国産PD-1単一抗体による再発もしくは治療が困難な通常型ホジキンリンパ腫の治療に関する研究が、国際的に権威ある学術誌「ランセット」の血液病関連誌2019年1月号の表紙を飾った。新華社が伝えた。
 ホジキンリンパ腫は数少ないB細胞悪性リンパ腫で、20代から40代の人に発生しやすい。うち圧倒的多数が通常型。早期治療は効果があり治癒率が高いが、治療後に約20%が再発もしくは治療が困難な通常型ホジキンリンパ腫に発展する。このような患者に対しては効果的な治療手段がない。
 石氏が担当した研究は96人の患者を被験者とし、再発もしくは治療が困難な通常型ホジキンリンパ腫の研究としては国内最大規模となった。中国が独自開発した1類革新薬「信迪利単一抗体」のみで治療を行った。研究結果によると、客観的な緩和率は80.4%に達し、治療効果は同類の輸入品と同程度で、安全性も高かった。
 人の免疫系に含まれるTリンパ球は「警察」のようなもので、突然変異した細胞を直ちに識別し取り除くことで、腫瘍の発生を防止する。しかし腫瘍のミクロ環境により、Tリンパ球の機能が抑制され、腫瘍細胞を殺せなくなることもある。これは腫瘍が拡大し、撲滅されない原因の一つだ。
 専門家によると、従来の化学治療や標的治療と異なり、PD-1単一抗体は患者の体内の免疫抑制を克服し、患者自身の免疫細胞の腫瘍殺傷機能を刺激し、回復させる。PD-1単一抗体はそのため、がんの免疫療法の先端分野になっている。普遍性が高く、治療効果が長く、従来の化学治療よりも副作用が少ないといったメリットがある。
 昨年12月、初の国産PD-1単一抗体「特瑞普利単一抗体注射液」「信迪利単一抗体注射液」が承認された。石氏は「国産PD-1単一抗体の市販許可は、中国の腫瘍患者により多くの治療の選択肢をもたらす」と話した。


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